いくつかの企業や業種だけの話とは言えない状況になりつつあります。現状をまとめてみました。詳細は以下から。
◆原料高が2022年の最大の懸念に
いつの間にかあちこちで聞かれるようになった原料高を原因とする値上げ。帝国データバンクが2021年11月に行った景気動向調査によると、2022年景気の懸念材料として「原油・素材価格の上昇」が82.5%と断トツのトップとなりました。
この数字は2020年11月調査時には7.3%だったところ、前年比75.2ポイント増となり新型コロナなどの「感染症による影響の拡大」の39.5%をダブルスコアでぶっちぎる結果となりました。
帝国データバンクは「原油や木材、鉄鋼などの素材価格の上昇や半導体不足などの供給制約の影響が長期化」していることを指摘しています。
◆製造業に深刻な打撃
中でも「建材・家具、窯業・土石製品製造」(93.9%)や「化学品製造」(93.8%)「鉄鋼・非鉄・鉱業」(91.3%)など、製造業で大きな影響が見られています。
Your News Onlineでも印刷や包装、パッケージに用いられる「酢酸エチル」が中国政府締め付けによって枯渇していることを伝えた記事には大きな反響がありました。
加えて流通・運送業界でトラックやバスの排気ガス浄化技術に必須な尿素水の枯渇も始まっています。
また半導体不足の深刻化はすでに多くのニュースで伝えられているとおり。給湯器などの各種家電が納期数ヶ月待ちとなる事態に加え、医療機器や自動車などにも影響が出ています。
◆身近な食品の値上げも相次ぐ
日々の食卓に並ぶ飲食物も無関係ではありません。12月1日にはキユーピーが「マヨネーズ」「深煎りごまドレッシング」など382品目を、7月に続いて今年2度目となる最大15%の値上げ。理由は食用油の需要が世界的に拡大しているためとされました。
またサントリーもウイスキーを最大28%値上げ。この中で輸入ブランドついては仕入れ価格上昇を理由にしています。
他にも12月16日にはヤマサ醤油が全の醤油商品の希望小売価格を、2022年3月1日納品分から約4~10%値上げへ。理由は原材料の大豆価格や物流費が高騰しているためとのこと。
また12月8日には東洋水産が「マルちゃん」シリーズの焼きそばやうどんなど約250品目を2022年4月の納品分から3~14%値上げが発表。こちらも食用油に用いる穀物の高騰に加え。物流費・包材費・燃料費等が高騰続いているため。
なお、11月中にも味の素冷凍食品や日本水産、テーブルマークなどが小麦粉や食用油、牛肉などの原材料の価格高騰、原油高による物流費上昇を理由に冷凍食品の10%前後の値上げを発表していました。
原油や木材、鉄鋼にはじまり、化学物質や食品などの原料高・物流費上昇が多方面から私たちの生活を脅かしつつある状況が深刻化しています。
パニック状態になればコロナ禍初期のような買い占め騒動が再発する可能性も高いため、今のうちから長期備蓄できる飲食品や日用品を少しずつでも買いためておいた方がいいかもしれません。
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