ケタミンをはじめ、MDMA、マジックマッシュルーム、LSDなどかつてはレクリエーショナルドラッグとして違法に流通していた物質がうつ病やPTSDなどの治療に有効とされ、海外では急ピッチで研究が進められてきました。
日本では「ダメ・ゼッタイ」のスローガンのもとでこうした研究は遅れていましたが、ようやくケタミンを使った「ケタミン療法」が日本でも始まることになりました。
ケタミン点滴を用いる日本発の「ケタミンクリニック」がスタート
愛知県名古屋市にある名古屋麻酔科クリニックのプレスリリースによるとうつ病、希死念慮、双極性障害、強迫性障害、PTSD、不安障害などの患者に対し、ケタミンを点滴で投与するケタミン療法が開始されました。
ケタミン点滴を受ける基準と流れは?
ケタミン点滴を受ける基準は公式HPには以下のように示されています。
・治療抵抗性のうつ病、双極性障害、強迫性障害、PTSD、不安障害の方 従来の治療に効果があまり認められなかった、副作用で中断したなど。
・自発的に治療に同意する
・リクリエーションドラッグ目的ではない
・当日車の運転をしない、通院は付き添いが必要であることを同意する
・ケタミンが禁忌ではない(過敏症、脳血管障害、高血圧(160/100以上)
・脳圧亢進症および重度の心代償不全、けいれん発作の既往)
・麻薬、覚せい剤の使用経験がない
・アルコール、薬物等の依存症ではない
これらの基準をパスした上で、医師と直接対話した上でケタミン療法を行うか決定されます。
ケタミンは30分間程度の点滴で投与され、投与後30分はその場で安静にしてもらうとのことです。
ケタミンの量は医師の判断で調節され、体重1kgに対して0.1mg程度でも問題ないケースがある(米国の基準では体重1kg当たり0.5mg)とされています。
点滴の回数は1セット6回で3週間から6週間掛けて投与するのが標準ですが、こちらのクリニックでは1回の注入で評価を行った上で医師が継続と判断した場合に続けられます。
また患者側も副作用などを含め合わないと判断した場合は中断が可能です。
保険診療ではないことに注意
注意すべき点として、ケタミン点滴は保険診療ではないため点滴1回で税込5万5000円かかります。
うつ病が治るかもしれないと考えれば高くありませんが、レクリエーショナルドラッグとして人気の出る値段とはいえなそうです。
なお、もちろんですがこの治療方法は法的に問題なく、保健所、県の医薬安全課、厚生局麻薬取締課とも連携を取った上で、病院としても臨床心理士や顧問弁護士とともにサポートしているとのこと。
海外ではうつ病などへのケタミンの高い効果を示す研究が多く報告されていましたが、ようやく日本でもその恩恵を受けることができるようになりました。
メンタルに不安を抱えている方は選択肢に入れてみても良さそうです。
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